病理医の方へ

第88回日本内分泌学会総会(東京)で教育講演を担当しました。

2015/05/07

 
  『甲状腺結節取扱い診療ガイドラインの求める細胞診の役割』と題し、2015425日日本内分学会総会で教育講演を担当させていただきました。   特に『鑑別困難に含まれる腫瘍の特色』と『甲状腺腫瘍分類の最近の考え方』について、ニキホロフ教授らによるNIFT(non-invasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features)を紹介しながら、甲状腺腫瘍の発癌機構(WHO分類の概念では)今まで存在しなかった甲状腺癌の前駆病変の位置づけについて紹介させていただきました。以前には癌(被包型乳頭癌濾胞亜型)とされていた腫瘍が、摘出により再発転移が起こらない、甲状腺全摘出+RAI治療は必要ない疾患と訂正され、前駆病変と位置付けられ、NIFT(non-invasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features)と名称が変更されました。これは甲状腺細胞診にも。甲状腺癌の治療方針にも大きなインパクトがある変更です。欧米では甲状腺細胞診鑑別困難に多数のNIFTが含まれており、今まで悪性の確率や、診断精度に癌としてカウントされていました。今までの論文のデータは一から見直しです。甲状腺癌の治療では、欧米ではNIFTは低悪性度の癌として、甲状腺全摘出術に加え、放射性ヨード治療が広く行われてきました。多くの過剰治療(甲状腺全摘による永久的甲状腺機能低下を減らし、術後合併症を減らすため)、放射性ヨード治療による第2の悪性腫瘍による死亡を防ぐことに力点が置かれました。    

甲状腺癌被包型乳頭癌濾胞亜型が変わりました。

2015/04/16

NIFT

NIFT

2015年3月20日、21日米国ボストンにて、写真の病理医24名、臨床医3名、患者代表1名が集まり、現在癌とされている甲状腺腫瘍(被包型乳頭癌濾胞亜型の浸潤転移のないもの)の呼称を変更する会議がもたれました。この腫瘍は米国で癌として治療され、相当数の患者が、甲状腺全摘出、放射性ヨード治療を受けていました。しかし、24名の病理医で再検証した109例の症例(14年経過観察、放射性ヨード治療をされなかった症例)の予後から、再発転移が起こらないことが確認され、この確認を受け、NIFT (non-invasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features)と呼称を変更することが決定されました。癌が良性の前癌的病変に変更される歴史的場面に立ち会えたことを喜んでいます。これから多くの患者の治療にインパクトがあることを期待します。患者が診断名に意見を述べたり、臨床医が注文を付けたりするのは、日本ではない光景でした。  

Jiangsu Institute of Nuclear Medicine

2014/10/21

                    I have an opportunity to visit at the Jiangsu Institute of Nuclear Medicine, to create a new friendship communication with Prof Daijun, Prof Jimmy and other members. They recently published a new textbook of thyroid cytology, ”甲状腺細胞病理図譜、人民軍医出版社、ISBN 978-7-5091-6180-7”, the first textbook of thyroid cytology written in Chinese language.  Its remarkable point is that most of their illustrations are from HE stained conventional smear samples, significantly different from Papanicoloau stain.  These are good illustrations and have a good correlation to HE features in histology. I found that dry artifacts did not create any problems in samples stained with HE in comparison to those often create serious staining problems in Papanicoloau samples. They have a good teamwork for patients with thyroid diseases and composed of  pathologists, endocrinologists, surgeons and radiologists.  I found they have more than 1500 thyroid surgerys including more than 700 cancer cases per year.      

第5回奈良甲状腺研究会

2014/09/21

9月20日、第5回奈良甲状腺研究会が、奈良県立医科大学の厳橿会館で開かれました。参加したのは2回目で、今回より顧問としておよびいただき、甲状腺細胞診について20分の講演時間を頂きました。今甲状腺細胞診は大きく変化し、分子診断が取り入れられるなど変革の時代を迎えています。甲状腺細胞診の概念を変えて、臨床での役割を向上させたいと考え、喜んでお引き受けいたしました。 この後、10月30日福岡の第47回甲状腺外科学会でもランチョンとして、細胞診で講演させていただく予定です。また、来春の4月25日日本内分泌学会での教育講演でも、甲状腺細胞診を予定しています。現状の一般の細胞診では、半数程度以上が結論の出ない診断(検体不適+鑑別困難+悪性疑い)が帰ってくるなど、臨床医の信頼の得られない、役に立たない甲状腺細胞診となっています。これを変えていきたい。目標は、(結論の出ない診断を20%以下に抑え)信頼される、頼られる細胞診に変えたいと思っています。興味のある方は是非ご参加ください。 なお、この第5回奈良甲状腺研究会には、昔の同僚である和歌山県立医科大学赤水教授も特別講演で参加され、和歌山のことを懐かしく思い出しました。甲状腺学会理事長として活躍されており、来年の国際甲状腺学会シンポジウムに演者として推薦したと伺いました。私の仕事が広がることに感謝しています。

Shan先生がopen access journal(J Basic Clinical Medine)を発行しました。

2014/04/09

Shan先生がopen access journal(J Basic Clinical Medine)を発行しました。応援を兼ねて、第2号に甲状腺特集を組み、日本から4編の論文を特集として掲載しています。是非 http://sspublications.org/index.php/JBCM をご覧ください。私からは甲状腺微小癌について、総説を書きました。微小乳頭癌は本当に癌と呼ぶべき腫瘍なのか?どのように治療すべきかについて私の疑問を書いています。open accessですので、ぜひご覧ください。中村美砂先生は彼女のライフワークカルシトニンとプロカルシトニンの不思議について彼女の切り口で解説してくれました。若狭先生は甲状腺炎に見られた異常細胞を記録しています。
ResearchGate(Kennichi Kakud) Better Treatment 最適医療 (社) 日本病理学会 教育委員会編集 病理コア画像 和歌山県立医科大学人体病理学(第2病理学)教室 バーチャル臨床甲状腺カレッジ