2017年11月

アジアと欧米の診療の違い

2017/11/23

医学は科学として東洋と西洋での差はないはずです。しかしこの年齢になって分かったことは、医療の方針や、実際の診療には国ごとに大きな差があることです。一般的に患者の遺伝的背景、生活習慣の違いにより疾病の頻度や予後の違いがあることが知られています。また社会の経済状態の差や、医療資源の制約などで、異なる医療方針があることも理解しやすい原因と思われます。しかし、宗教、倫理観、道徳観の違いによっても医療に大きな差が生まれることに気付きました。これを2つの論文としましたので、英語ですが、興味のある方はご覧ください。自由にダウンロードできます。しかし患者にとっては大きな違いであると思います。
  1. Kakudo K: How to handle borderline/precursor thyroid tumors in management of patients with thyroid nodules. Gland Surg 2017. doi: 10.21037/gs.2017.08.02

  2. Kakudo K, Higuchi M, Horokawa M et al.: Thyroid FNA cytology in Asian practice – Active surveillance for indeterminate thyroid nodules reduces overtreatment of thyroid carcinomas. Cytopathology 2017; Nov 2. doi: 10.1111/cyt.12491. [Epub ahead of print]

斉魯友誼賞の受賞報告

2017/11/22

Qilu Friendship Award

Qilu Friendship Award

20年以上にわたり取り組みました山東大学医学部病理学教室との交流、和歌山県立医科大学と山東大学との学術交流、学生交流活動、さらに11名(内9名が山東大学より)の中国人留学生の受け入れなどを評価いただき、山東省政府より、斉魯友誼賞を授与されることとなりました。中国語のため私には読めませんが、以下の記事が出たようです。皆様と喜びを分かち合いたいと思います。   http://mp.weixin.qq.com/s/Kvr9fAy2TFvH08GLSuwLWQ   http://www.en.sdu.edu.cn/info/1018/2430.htm

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アジアの細胞診特集

2017/11/20

甲状腺細胞診のワーキンググループを2016年に結成し、2017年には韓国釜山市でのAOTAで、発起集会を開きました。その時に決定し、メンバーの協力のもとに、Journal of Pathology and Translational Medicine  に特集Current Practices of Thyroid Fine-Needle Aspiration in Asia を刊行することができました。(http://jpatholtm.org/current/?vol=51&no=6​).をご参照ください。医学は科学であり違いはないのですが、社会的背景、倫理観、経済的背景の差により、医療は国ごとに異なっていることが明瞭にわかる特集となりました。今まで、欧米から出されたガイドラインの多くをそのまま移入してきましたが、多くの違った結果を得て、その原因がわからずに過ごしてきました。多くの原因は患者群の違いであろうと推測されてきましたが、別に大きな問題があることを、甲状腺結節診療で明らかにしたいと思っています。興味を持っていただいた方は以下をご参照ください。Open Access ですので、自由に見ることができます。
  • Kakudo K, Higuchi M, Hirokawa M et al.: Thyroid FNA cytology in Asian practice – Active surveillance for indeterminate thyroid nodules reduces overtreatment of thyroid carcinomas. Cytopathology [Epub ahead of print].
 

The new second edition Bethesda System

2017/11/05

The new second edition Bethesda System

The new second edition Bethesda System

The new second edition Bethesda System がSpringerから出版されました。世界で最も使用されている甲状腺細胞診の診断様式です。アジアから著者に加わったのは、韓国のHong先生と私の2名だけであるようです。アジア諸国の臨床と、米国の特殊な医療環境での診断様式、臨床的取り決めには大きな違いがあることがわかってきました。これらの食い違いに対し、整合性を取るのが、私達アジアから参加した著者の役割と考えています。

ResearchGate(Kennichi Kakud) Better Treatment 最適医療 (社) 日本病理学会 教育委員会編集 病理コア画像 和歌山県立医科大学人体病理学(第2病理学)教室 バーチャル臨床甲状腺カレッジ