森川先生の第2解剖教授昇任を祝って
2015/08/25
教室員の育成では、和歌山県立医科大学在職中に第2病理学(人体病理学)教室員から8名(栗林恒一、東家一雄、松浦成昭、横井豊治、中村美砂、楊基峰、韓博、森一郎)の教授を生み出したことが私の最も誇りとするところです。本年、森川吉博先生が和歌山県立医科大学第2解剖学教授に昇格し、総勢9名となりました。もちろんこれらは私個人の功績ではなく、各自のたゆまぬ努力の賜物と存じます。また私の教室にこのような多くの優れた人材が在籍してくれたことに感謝したいと思っています。私の密かな夢は、これを二桁にすることです。これは高い確率で可能と考えています。
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Borderline and precursor lesion of thyroid neoplasms: A missing link.
2015/05/14
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甲状腺腫瘍発生では良性と悪性の間があるはずです。前癌病変、境界悪性病変が癌の多段階発癌では知られています。なぜか甲状腺腫瘍分類では、前癌病変、境界悪性病変、非浸潤癌の概念が設定されていません。この欠けた部分は何か?について、Borderline and precursor lesion of thyroid neoplasms: A missing link.に解説しています。どうして今まであまり議論されてこなかったのか不思議に思っています。
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第88回日本内分泌学会総会(東京)で教育講演を担当しました。
2015/05/07
『甲状腺結節取扱い診療ガイドラインの求める細胞診の役割』と題し、2015年4月25日日本内分学会総会で教育講演を担当させていただきました。
特に『鑑別困難に含まれる腫瘍の特色』と『甲状腺腫瘍分類の最近の考え方』について、ニキホロフ教授らによるNIFT(non-invasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features)を紹介しながら、甲状腺腫瘍の発癌機構(WHO分類の概念では)今まで存在しなかった甲状腺癌の前駆病変の位置づけについて紹介させていただきました。以前には癌(被包型乳頭癌濾胞亜型)とされていた腫瘍が、摘出により再発転移が起こらない、甲状腺全摘出+RAI治療は必要ない疾患と訂正され、前駆病変と位置付けられ、NIFT(non-invasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features)と名称が変更されました。これは甲状腺細胞診にも。甲状腺癌の治療方針にも大きなインパクトがある変更です。欧米では甲状腺細胞診鑑別困難に多数のNIFTが含まれており、今まで悪性の確率や、診断精度に癌としてカウントされていました。今までの論文のデータは一から見直しです。甲状腺癌の治療では、欧米ではNIFTは低悪性度の癌として、甲状腺全摘出術に加え、放射性ヨード治療が広く行われてきました。多くの過剰治療(甲状腺全摘による永久的甲状腺機能低下を減らし、術後合併症を減らすため)、放射性ヨード治療による第2の悪性腫瘍による死亡を防ぐことに力点が置かれました。
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