病理医の方へ
WHO 4th edition of endocrine organ
2016/05/01
フランスのリオンで、WHO分類の編集会議があり、国際医療福祉大学長村義之先生、国立函館病院の木村伯子先生と日本から3名が参加しました。甲状腺、下垂体、副腎、膵臓内分泌の4分野で、腫瘍分類が改訂されました。出版予定は2017年で、今年ドイツで開かれる国際病理学会のシンポジウムで、変更点が紹介されます。久しぶりにイタリアのPapotti 教授、Talini 教授、ポルトガルのSimoes 教授、スイスのKominoth教授など、懐かしい人々と合うことができました。甲状腺腫瘍では、NIFTPが、境界病変として(悪性の癌ではない病変、濾胞腺腫のように完全に良性でもない)新たにチャプターが設けられます。予想したよりもドロドロした会議で、それぞれのメンツを保つため、自分の論文を中心的に扱うため、驚くほど露骨な動きの見える会議でした。たとえば、NIFTPで言うと、以前のUMPとの違いが議論され、UMPの提唱者のRosai教授が、引き下がらず、とうとう両論併記で決着しましたが、最終原稿まで至らず、これからまだひと悶着がありそうです。残念ながら、日本からの論文は無視されることが多いのですが、できるだけ主張したつもりです。
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NIFTPがとうとう出版されました。
2016/04/15
ニキホロフ教授による国際ワーキンググループの成果がとうとう日の目を見ました。4月14日付で、JAMA Oncolに出版されました。Open Accessですので、どうぞご覧ください。同時にエディター(Patel, KN)のコメントも追加されました。驚いたことに、The New York Timesが、http://www.nytimes.com/2016/04/15/health/thyroid-tumor-cancer-reclassification.html. さっそく取り上げてくれました。これで、甲状腺病理診断が変わると考えています。
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蘇州訪問と講演
2016/04/01
3月24日から29日、蘇州を訪問し、蘇州大学、常州市での病理学会地方会で講演してきました。低分化癌、ITET/CASTLE、NIFTPをテーマで3講演をさせていただきました。WHO分類第4版の紹介を世界で一番早くしてしまいました。以下のリンクは中国語の病理医SNSニュースですが、中国ではコンサルテーションシステムがずいぶん発達しているようです。
http://www.91360.com/201603/20/26831.html
varidation study
2016/01/27
Nikiforov教授との甲状腺前癌病変の共同研究は、JAMA Oncologyに投稿中となりました。引き続き、英国、米国、日本の一般病理医の方々にお願いし、乳頭癌の核所見の評価(大きさ形状、核膜の不整、クロマチンの変化)をいただき、診断基準のvalidationを確認することになりました。ご協力いただける方は、覚道まで、メールにて参加の意思表示をいただければ資料をメールでお送りいたします。(ご検討いただく30例の資料と、評価を記載いただくエクセルファイルをお送りいたします。)共同研究の中心人物Lester Thompsonの作成した教材資料をご参照ください。
解説ファイル
評価対象30例の画像
1画面に非腫瘍部甲状腺(左画像)と評価対象画像(右画面)が大きさの比較のため、同一拡大で示されています。
なお、同ファイルが下記にも掲載されています。
Lester ThompsonのHP: http://www.lester-thompson.com
英国のDavid Pollerの http://www.pathlab.org/Pathology_and_Cytology_Links_Pathlab.org_Pathology_UK_Video_Cytology_Books_Media_News.html(at the top of the page NIFTP study January 2016
解説ファイル
評価対象30例の画像
1画面に非腫瘍部甲状腺(左画像)と評価対象画像(右画面)が大きさの比較のため、同一拡大で示されています。
なお、同ファイルが下記にも掲載されています。
Lester ThompsonのHP: http://www.lester-thompson.com
英国のDavid Pollerの http://www.pathlab.org/Pathology_and_Cytology_Links_Pathlab.org_Pathology_UK_Video_Cytology_Books_Media_News.html(at the top of the page NIFTP study January 2016
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第15回国際甲状腺学会、米国オーランド市
2015/11/13
10月18日から23日にフロリダ州オーランドで国際甲状腺学会が開催されました。眼科のガリティー教授(メーヨ医科大学)、膠原病内科のKhosroshahi教授(エモリー大学、名前の発音が分かりません)とともにIgG4関連疾患のシンポジウムを担当しました。李先生、隈病院西原先生、和歌山医大竹島先生、山下クリニック猪俣さんたちとの共同研究で進めてきた、『IgG4甲状腺炎』について、このIgG4甲状腺炎の疾患概念を確立するために、私にとっては、和歌山医大での仕事を、この国際学会で、まとめとすることができました。このIgG4甲状腺炎の疾患概念を、欧米で受け入れてもらえず苦労した原因はたぶん(原因は分かりませんが)IgG4甲状腺炎、IgG4関連疾患が、日本人に多い病気、欧米ではたいへん少ない病気であることが、原因ではないかと思っています。本学会では日本から多くの参加者、発表があり、地理的、人種的違いによる疾患の違いや、社会的背景、宗教観、論理的思考の違いなどからくる治療方針に違いがることなど、多くの意見交換がなされました。日本からは隈病院の甲状腺微小乳頭癌のシンポジウム、宮内昭先生のAOTA受賞講演、鈴木教授の福島原発事故後の甲状腺検診報告、など、一時代を画する国際甲状腺学会でした。