甲状腺外科学会2014福岡(山下会長)

2014/12/23 17:27

ランチョン

加藤教授、高見教授

第47回日本甲状腺外科学会、2014年10月30日福岡で、ランチョン講演『甲状腺細胞診』を担当しました。甲状腺細胞診は、すでに確立された技術、術前診断法の要であります。しかしまだ臨床医に知っていただきたいことは、病理医の立場から、たくさんあります。甲状腺腫瘍の治療では鑑別困難が問題であり、鑑別困難という診断用語から、臨床医だけでなく細胞診を担当する病理医の中にも、細胞診では判らないので(ゴミ箱のように)鑑別困難に入れるのだと誤解している方が多くあります。良性か悪性かの判定はできないのですが、良性でもない、悪性でもない中間(癌の前駆病変,境界病変)の病変が多く含まれていることが判ってきました。今までこれを転移、浸潤のある出来上がった癌と、臨床医の皆様は混同していたのです。まだ癌かどうかわからない初期の癌、癌になる前の前駆病変、癌と紛らわしい良性病変、予後のいい非浸潤癌などが、鑑別困難に診断される多くの病変です(これ以外に標本不良のため診断が困難なものがあります)。これは、他の領域たとえば婦人科子宮頚部細胞診では、良性と扁平上皮癌の間に、前癌病変である異形成(Low Grade Squamous Intraepithelial Lesion, High Grade Intraepithelial Lesion)、初期浸潤癌などが設定され、これらの病変は細胞診では、扁平上皮の異型の程度から、HSIL, LSIL, ASCH, ASCUSなどと詳細に診断されます。しかし甲状腺細胞診では、組織診断での前駆病変診断基準が未確立のため、細胞診鑑別困難の診断と対応する甲状腺癌の前駆病変、初期癌の対応は詳しく分析されていません。子宮頚部の扁平上皮病変のようにはまだうまくいかないのですが、これから細胞診鑑別困難の亜分類が面白くなると思っています。日本甲状腺学会は、これを世界に先駆けて取り入れました。これは伊藤病院の外科医鳥屋先生が始められた鑑別困難の亜分類です。また隈病院の宮内先生が実践された方法に準じています。この分野の先輩である宮内先生に座長を担当いただいたことから緊張している様子が写真からお分かりいただけると思います。また会長招宴では高見先生、加藤先生と歓談することができました。山下会長色々とご配慮ありがとうございます。  

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